「月刊フォーNET」2016年2月号掲載分
『独文和訳の根底』 小柳篤二 大学書林 昭和26年
ここのところ雑誌・パンフ・テープやレコードなどのサブカル系雑貨の紹介が多かった気がするが、たまにはこういう古本らしいものも紹介してみよう。
この本は出すとすぐに注文が入った。しかも「日本の古本屋」という地味というか古書好きじゃないと近づかないようなマニアックなサイトで売れた。
おそらくはこの本をずっと探している人なのだろう。やっと出品されたので多少値が張っても買っていただけるのだと思う。
古書店はこういう高額な本が売れないと正直言って継続しがたいものがある。「安く買い叩いておいて売るときは高値を付ける」と非難する向きもあるが、そうではない。古本屋の仕事は砂金採りのようなものだ。大量の砂を安値で買って、手間暇かけて砂金だけを取り出す。手間も経験も必要となる。
ちょっとエラソーに演説してしまった。ご寛恕せられよ。
大学書林は語学テキストの老舗だから、過去にもいろんな名著が出版されている。こうした版元から出た本で絶版になっている本には、このように切実に探している人がいることが多いようだ。
SONY HF 60 など未使用カセットテープ
カセットのミュージックテープが高値で売れることはすでに紹介したと思うが、今回はいわゆる「生テープ」の話。先日レコードを買い取りに行った先で手に入れた大量のカセットテープ。どうやらいろんな形で需要があるようなのだ。
耳にしたところでは、1)カラオケの練習用、2)カセットテープの音を好むオーディオマニア、などからの需要があるらしい。
1)は、高齢者のケースが多いらしくて使い慣れたカセットが好まれるのだとか。2)については、カセットの音を好むミュージシャンの星野源がカセット工場に見学に行くというテレビ番組を見たことがある。こういう人は「メタル」とか「ハイポジ(ハイポジション)」といった高級品を珍重するのかもしれない。
カセットの需要が増える直接の要因にはまだなっていないようだが、パソコンの記憶媒体としてのカセットテープもまた再評価されつつあるらしい。というのも大量のデータを記憶させる技術が開発されているらしいのだ。コストが安いというのが大きなメリットであるらしい。