福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

2018-01-01から1年間の記事一覧

貴重な資料がベストセラーを生むまで 

もしもこの世から古本屋がなくなっても、困るという人はそれほど多くないかもしれない。安い本が買えなくなってちょっと不便だという人が多少はいるかもしれないが。 一方でこんな例はどうだろうか? 磯田道史という歴史学者の『武士の家計簿』という少し前…

「どんな本が買ってもらえるんですか?」と聞かれた時の答え方

本を買います、という広告を出しているので毎日電話がかかってくる。そのすべてと話がまとまるわけではない。むしろ成約しない方が多いかもしれない。残念ながら買えない本が結構あるからだ。典型的には百科事典・日本文学全集・世界文学全集・美術全集など…

古本屋のという商売について

先日、「古本の仕事に興味があるので雇ってもらえるだろうか?」 という電話を受けた。弊店ホームページにスタッフ募集とあるのを見たそうだ。定年になって新しいことを始めたいという男性からだった。若い人なら後継者含みであれば検討したのだが、少し年配…

事業継承について考えてみた

不肖よかばい堂店主も還暦を迎え、いまさらながらではあるが事業継承について考えている。古本屋の多くは個人事業でやっているところが多く、親族に後継者がいれば円滑に継承できようが、そうではない場合は自分の手で店をたたむか、死んだ後に遺族がたたむ…

図書館の廃棄本について考えてみる

先日高知県立大学の図書館が本を廃棄したことで新聞に取り上げられた(8月17日の高知新聞。「高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数」)。 記事によるとこうだ。「『完全焼却された図書』のうち、郷土関係は、土佐藩の国学者、鹿持雅澄が…

 よかばい堂、近隣で充実した買取のひと月を過ごすの巻

今月は近隣で興味深い買取りが多かった。 最初は年配の男性。歌舞伎や演劇が好きで本・雑誌はもとより公演のパンフやブロマイドなど大量のコレクションをお持ちだ。その多くには俳優たちの直筆のサインが入っている。たとえば市川雷蔵や大川橋蔵のサイン入り…

よかばい堂、放蕩の叔父の後始末を手伝うの巻

九州のとある温泉町で買い取りをしてきた。叔父が残した本を買い取って欲しい、某月某日に東京からその温泉町に行くので来てくれないか、と女の声の電話だった。東京在住の彼女の亡き叔父が残した本だという。 本の詳細について尋ねると携帯に写真が送られて…

 よかばい堂、「老人と本」の一日を過ごすの巻

大学で昆虫の研究をしていた方から本の買い取りを頼まれた。福岡市の近郊にある今はもう使わなくなってしまった旧宅まで車で連れて行ってほしいとの要望だった。現在は退官して大学近くの集合住宅にお住まいなのである。 昼前に迎えに行き、一時間ほどの道連…

 よかばい堂、左利きの故人に感銘を受けるの巻 

90数歳で亡くなった方の息子さんから本の買い取りを頼まれた。父親の残した膨大な本は書斎の本棚にぎっしりつ詰まっている。本が多いので2回にわたっての買取りのなったのだが、最後にアッと驚くような話を聞いたのでご紹介してみたい。 亡くなった方は工…

よかばい堂、左利きの故人に感銘を受けるの巻 

90数歳で亡くなった方の息子さんから本の買い取りを頼まれた。父親の残した膨大な本は書斎の本棚にぎっしりつ詰まっている。本が多いので2回にわたっての買取りのなったのだが、最後にアッと驚くような話を聞いたのでご紹介してみたい。 亡くなった方は工…

 古本の出張買取はどうやるのか?

よかばい堂はネット販売専門で、今のところ店舗を持っていない。「今のところ」というのは、いずれは店舗を持ちたいとひそかに思っているからだが、家賃を払い店員を置き優良な在庫を揃えて棚の手入れをするとなると、大きな負担増になるのは間違いなく、現…

よかばい堂、バーのマダムの手紙を発見するの巻

古書の間からは色んなものが出てくる。ヘソクリが挟んであることもあるが、ハガキや手紙も頻繁に出てくる。 先日は私信の便箋が3通出てきた。封筒はなく便箋のみ。差出人はいずれも同一人物で中洲あたりの飲み屋の女主人と思しき人物。当時の言葉ではバーの…