福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2009年5月号掲載分

虹のトライアングル 花の三人娘/森昌子桜田淳子山口百恵
著者:清水哲男
出版社:潮出版社
発行:昭和50年7刷


 最近「昭和歌謡」などという新たなキャッチフレーズを獲得して歌謡曲が注目されているようだ。古くて珍しいものの「発見」という意味があるのかもしれない。ちょっと前までは、恥ずかしそうな日陰を歩いていたのが、今では堂々と表通りを歩いている感じだ。
 そんなトレンドの影響があるのだろうか、当時の定価の三倍近くで買われていった。小粒ながらもプレミア商品であることには違いない。一昔前なら、いや今でもゾッキ本のコーナーに二束三文で置かれているタイプの本である。現に筆者はそういう場所でこの本を見つけ、「救出」してきた。この手の本はタレントの人気のがピークを過ぎると見向きもされずにゴミ扱いされかねない。雑誌のようにぞんざいに扱われがちなので、年月を経るとともに廃棄されるものも多いため、残存数は少ないはずだ。
 なんと言っても表紙が良い。写真では色がお分かりいただけないのが残念だが、ピンクを基調とした色使い、写真のレイアウト、タイトルなどに当時の空気を濃厚に感じることができる。
 山口百恵の写真が最上段でかつ最も前景にあることから、この頃はすでに一番人気だったという推測が成り立つ。確か最初は森昌子、次に桜田淳子、最後に山口百恵というように人気が移っていったと記憶する。というよりも、その順番でスター誕生からデビューしたんだっけ? またちょっと調べてみよう。と、そんな楽しみ方もできそうだ。


週刊東京 昭和31年10月20日
出版社:東京新聞社
発行:昭和31年

 たまたま今月は芸能ネタがふたつ続く。35年前の本に続き、今度は50年以上前の週刊誌。ネーミングがすごい。「週刊東京」である。東京新聞社が発行したからなのか、ごくストレートに何のけれん味もなく「東京」だ。当時の定価は30円。その数十倍の価格では売れたが、古い雑誌だから順当なところだろう。
 記事の内容は覚えていないが、宮城まり子のモノクログラビアがあり、ああ女優さんはやっぱりきれいなもんだな、と思えるほどに魅力的な写真だったと記憶している。後年の「ねむの木学園」の宮城まり子とはまったく違う印象。
 表紙は杉田弘子という女優。購入者の目当てはコレかも知れぬと思い、どんな女優なのかネットで検索したが有効な情報は見当たらない。昭和30年代、松竹を中心に数本の映画に主演しているようだ。小津安二郎の監督作品「早春」にも出演しているというが、気づかなかった。今となっては忘れられた女優だろうが、当時はそこそこ知られていたのだろう。
 ネット検索で、浅草のプロマイド屋「マルベル堂」が杉田弘子のプロマイドを販売していていることが判明。その点数も29点だから、それなりの人気はあったのだろう(ちなみに王貞治20点、山口百恵176点)。
 ここにご紹介した写真は弊店の商品をスキャナで読み込んだもの。表紙の下中央にかなりの破れがあるが、なんとかこの女優さんの魅力が伝わるだろうか。