「月刊フォーNET」2009年7月号掲載分
GOMES 1994年 1月号
出版社:パルコ出版
発売日: 1994/1/1
1970年代から80年代にかけて「ビックリハウス」という雑誌があった。糸井重里、橋本治、安西水丸なども寄稿して熱心なファンを持つサブカルチャー雑誌だった。パロディというものを、この雑誌を通じて知った人も多いはずだ。筆者は深夜放送でこの雑誌のことを耳にし、ものすごく読みたくなり天神の金文堂・積文館・紀伊国屋を全部まわったがどこにも無かった。まだ福岡には入ってなかったのだ。数ヶ月後、新聞広告で福岡でも買えるようになったことを知り大喜びしたことを思い出す。
出版元はパルコ出版だ。その名前から判るとおり、西武流通グループ(のちのセゾングループ)のひとつパルコのイメージ戦略の一環だったのだろう。堤清二社長(辻井喬)はこういう遊びが好きだったようだ。
この「GOMES」も同じ出版社から出ているが、ビックリハウスと違うのは、こちらはフリーマガジン(無料)という点。
筆者がまだサラリーマンだったとき、吉祥寺のパルコのエスカレーター横のパンフ置き場にずらっとバックナンバーが並んでいた。楽しげな表紙と執筆陣の豪華さが目を引いた。無料なのでバックナンバーを一部ずつもらってきた。その後もパルコに行くたびに貰ってきたので同じ号が複数あったりする。漠然とだが、こういうものはのちのち価値が出そうな気がしていたようだ。
無料なだけに、15年も保存されていることが珍しい。その保存料として値段がつくのかもしれない。
ニャロメのおもしろ性教室
著者:赤塚不二夫
出版社:角川文庫
発売日: 1985/01
弊店はインターネット専業の古書店なので、顧客とのコンタクトは通常ネット上だけで完結する。受注・代金決済・発送通知もすべてネット上だ。商品は梱包して発送すれば完了するので顧客と直接会うことはおろか、話をすることも稀だ。
それでも時々電話が掛かってくることがある。よかばい堂という屋号は少ないから、ネットで検索すれば弊店のページにヒットするし電話番号もわかる。ほとんどの場合、店舗があると思い込んでの電話なので、まずは「うちはネット専業なので店舗はないのですよ」と説明する。それでがっかりして来るのをやめる人もいれば、「お宅で出品している○○という本を直接売ってくれ」という場合もある。
この本の顧客は後者だった。もう近くのコンビニまで来ているという。すぐに電話を切り本を持ってコンビニに駆けつけた。二十歳前後のおとなしそうな男性だった。お互いに運がいいと言えるだろう。店主が仕入れに出かけていたらこうは話は進むまい。
例によって本は読んでない。読みたかったが、すぐそこまで来ている客を待たせて読むわけにもいかない。赤塚不二夫のキャラクターがオールスターで勢ぞろいし、おそ松がひみつのアッコちゃんにセクハラしたりするシーンがあったりするなど他では見られない展開があるらしい。この原稿を書くにあたり、この本が紹介されているブログをいくつかチェックしたが、それを読んだだけで大笑いしてしまった。
ぜひともまた仕入れて、じっくり読んでみたい。