福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2008年12月号掲載分

『ALL ABOUT 長渕剛 ギター弾き語り全曲集』
出版社: ドレミ楽譜出版社 (2005/2/17)
いつものようにブックオフ仕入れをしていると店内の有線放送からやけに説教くさい曲が流れてきた。歌詞は覚えていないが、その語り口はたしか「○○するんだ〜!」「○○しろ〜!」「〜でいいのか?」のようにアジテートする感じだ。そこに「日本」とか「世界」といったビッグワードが混じっていた(はずだ、多分)。確認したわけではないが、あの曲といい声といい間違いなく長渕剛の歌だったと思っている(もちろんこちらの勝手な思い込みで、違ってるかも知れない)。
 たしかに相当アクが強いから、受け付けない人も多いだろうが好きな人にはたまらない魅力を感じさせる歌手なのだろう。
 今回売れた本はその長渕剛の「全曲集」。楽譜集だ。もちろんギターのスコア付き。全曲と謳ってるからには新しいアルバムが出るたびに、増補改訂版が出ることになる。売れたのは最新版だが、20年以上も前から「全曲集」が出ている。いまアマゾンで調べたら「長渕剛 ギター弾き語り全曲集」というキーワードで19冊もヒットした。しかもそのほとんどが版元品切れで、中古品はプレミアがついている状態だ。
 プレミアが付いていても売れていく。買った人は長渕になりきってギターをかき鳴らして歌うのだろうか。長渕とファンの関係が垣間見えるようで興味深い。
 

コロコロコミック 小学館

 コロコロコミック自体は今でも存続している雑誌だ。お買い上げいただいたのは、20年以上前のバックナンバー。数冊出品したらまとめ買いが入った。もちろんそこそこのプレミア価格がついている。
 購入後のやりとりから察すると、どうやらサラリーマンのようだ。小学生の頃読んだ記憶が懐かしくて、大人になって多少の小遣いも使えるようになって、懐かしさのあまりつい買ったのかもしれない。そう思っていたとある日、新刊本書店で『熱血!!コロコロ伝説』という本を見つけた。コロコロコミック発刊30周年を記念した企画らしい。バックナンバーをダイジェスト版にした企画だ。
 なるほど、そういうことか。サラリーマンが新刊本屋でこの『熱血!!コロコロ伝説』を見つけて購入。読んでみると少年時代の記憶が甦り、ネットでさがしたら、あった!バックナンバーが! という感じだろうか。
 この手の本は家の中では真っ先に処分されやすい運命にある。まず分厚くてかさばる。1冊の厚みが5センチほどだから、1年分だと60センチにもなる。母親にとっては、掃除のときに真っ先に処分したくなる対象に違いない。愛読した当の本人にしたって、中学生ぐらいの背伸びしたい年頃になれば「忌まわしい過去の記憶」として整理したいのかもしれない。
 だからこそ、20年も経つと手に入りにくい本になってしまうのだろう。