「月刊フォーNET」2012年12月号掲載分
流れ―写真集 (1984年) [古書]
日本機械学会 (編集)
出版社: 丸善 (1984/03)
- 作者: 日本機械学会
- 出版社/メーカー: 丸善
- 発売日: 1984/03
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流体力学の専門書。というか写真集。液体や気体の流れを研究する学問だと思うが、それを写真に撮り、しかもそれだけで写真集にしてしまうことは稀有のことなのだろう。どうやら類書は見当たらない。
しかも執筆陣というか写真提供者がきわめて多いのも本書の特色だろう。大学や国の研究所だけではなく自動車メーカー、重工、造船会社、重電関係の民間企業からも提供されている。つまり編集者である日本機械学会の会員たちであろう。
よかばい堂店主もサラリーマン時代にはゼネコンに勤務していたが、社内の設計部に水の流れの研究をしている研究者がいた。なんでもその流体力学とやらはかなり高度な数学を必要とするらしく、やたら数学の得意な東大卒が何人かいて、高校時代から全国模試の数学でトップをとったとか満点を取ったとか話していたのを耳にしたことがある。流体力学の世界とはきっとそういう人たちがぞろぞろいるのだろう。
そういう数学を使って解析すると同時に写真を撮ってその流れを可視化するというのが本書の成立の動機なのだろう。専門家が多くの写真を持ち寄ることでこの写真集ができている。
お買い上げいただいたのもどうやら大学で研究をしている専門家の方のようだった。
植生からよむ日本人のくらし―明治期を中心に
小椋 純一 (著)
出版社: 雄山閣出版 (1996/09)
- 作者: 小椋純一
- 出版社/メーカー: 雄山閣出版
- 発売日: 1996/09
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この夏、家族で大分に行き九重の草原地帯を車で走った。
台風上陸前の強風にあおられる草原の光景は雄大かつ壮大、生意気盛りの子供たちすら感嘆の声を上げたほどだった。
そのときふと疑問が湧いた。草原とはいったい自然なのか人工なのか? 草原をあるがままに放置すれば自ずと森林となるのではないか? 草原であり続けるには放牧・焼畑などの人為を必要としないか? すなわち草原とは人為により成るもの、人工的なるもの、あるがままの自然とは異なるのでは、という疑問だ。
もしそうだとするなら、いつごろからどうやって草原を作ってきたのだろうか。しかしヤマトタケルが熊襲を襲ったときはすでに阿蘇は草原だったような気がするが、その頃から焼畑か牧畜をしていたのだろうか?
こんな疑問が次々と湧くので帰宅後『草地と日本人』という本を読んでびっくり。つい最近まで日本は草原だらけだったそうだ。
でこの本だが興味深そうな図版がたくさんある。写真や浮世絵などを丹念に調べると当時草原があった場所がわかるという。もう少し読みたかったが、後ろ髪を引かれる思いで本を送り出した。