「月刊フォーNET」2013年1月号掲載分
ピッツァ大事典―本場の味・特選240種 (セブンクッキングブック) [-]
ビンチェンツォ・ブオナッシージ (著)
出版社: 小学館 (1985/01)
ネットで古本屋をしていると、外出がまれで食事は家ですることが多い。勢い自分で作ることもあり、手軽に作れるパスタ類は重宝する。参考書は大昔東京の古本屋で買った100円のレシピ本。イタリアの原書を訳したものだから、忠実に作ればイタリアの味が再現できそうな気がする。
この本もイタリア人の原書の日本語訳らしい。ただ、ムックなので出版社の編集がかなり施されているようだ。
お買い上げいただいた方は、どうやら大きなホテルのシェフ。料理学校でも教えているようだ。研究熱心なプロの方なのだろう。
ホテルでのメニュー開発などで活躍するのかもしれない。他と違うメニューを揃えるための研鑽にこの本が役立つのだろうか。
本の体裁はムック形式で著者名も一切書かれておらず、一見すると日本で編集した本に見えるが、奥付等を見るとイタリアの原著を翻訳したものとわかる。
料理の本は写真が多く、制作に手間とコストがかかりそうだ。
レシピも日本風にアレンジしたものではなく、イタリアのオリジナルをそのままのレシピを尊重するのだろうか。プロはそれを自分なりにアレンジするに違いない。他のプロがアレンジしたものを使うのではなく。
写真はイタリア政府観光局から提供を受けている。翻訳は株式会社モロゾフのミラノ駐在員小嶋佳子さん。神楽坂でレストランを経営されているようだ。
と、ここまで書いたが上記の方からキャンセルを食らってしまった。この原稿もお蔵入り。ところが最近また売れた。今度の購入者はちょっと珍しい名前だったのでググってみるとフェイスブックにヒット。やはりピッツェリアで働いている方のようだ。
小原流の花―様式から創作まで (いけばなマスターシリーズ) [単行本]
小原 宏貴 (監修)
出版社: 主婦の友社 (2000/07)
恥ずかしながらよかばい堂店主、じつは「茶通教授免許」保持者だ。持っているから人に教えられるかというと、教えられない。だから恥ずかしい。
もちろん実力はない(ほとんど忘れてしまっている)が、さらに大きな理由は、教える環境を持たないということ。茶室もなければお茶の道具もない。何よりも教える相手つまり弟子がいない。
母方の祖母がお茶を教えていたので、そこに出入りするある日免状を渡された。
本来必要な師匠への月謝も盆暮の付け届けも何もせずに、労せずして半ば自動的に免状が手に入ったわけだ。実力も何もあったもんじゃない。
こういうお稽古事というのは時間と金がかかるものだ。それは長いことやっていくうちに技術はもちろん、弟子や道具といった環境も師匠から受け継いでいくのだろう。
お買い上げの主はきっとそうやって華道に精進しているにちがいない。師匠からこの本を薦められたら多少値が張っても買わないわけにはいかないだろう。