「月刊フォーNET」2010年1月号掲載分
男の編み物(ニット)、橋本治の手トリ足トリ
著者:橋本治
橋本治は小説を書いたり評論を書いたりしているが、編み物もするらしい。しかも本を書いてしまうほどの腕前でもあるようだ。といっても、本業の小説・評論とは違いこの手の本が重版されることは稀のようだ。しかも類書の無さはには文句のつけようがない。いきおい品切れ本にはプレミアがついてしまう。本業の小説や評論の本にはプレミアがつくのは稀なのに。
こういう「本業以外の本のプレミア化」にはいくつか例がある。たとえば経営学の大家ピーター・ドラッカーの小説『善への誘惑 』。ドラッカーの経営学の本は広く読まれている、つまりたくさん売れているのでプレミアが付くことはないが、この小説はずいぶん高い値が付いている。あまり売れなかったのだろうと推測できる。
テレビでときどき見かけるリチャード・クーというエコノミストがいるが、彼はカメラのコレクターでもあるらしい。『東ドイツカメラの全貌―一眼レフカメラの源流を訪ねて 』という本の共著者でもある。彼の本業の経済の本はいわゆるアマゾンの「一円本」が多いのだが、この本には定価の倍ほどの価格がついている。
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相沢家の愛しき卒業生たち
著者:相沢てる子
まずは写真をご覧いただきたい。松田聖子、桜田淳子、岡田有希子、そして帯でちょっと隠れているが酒井法子と安達祐実の写真が表紙を飾っている。一年以上店ざらしだったが、今回ののりピーのスキャンダルのおかげ(?)でめでたく売れて行った。
著者の相沢てる子は芸能プロサン・ミュージックの相沢相談役の妻。去年の酒井法子の逃走劇の際にメディアに再三登場した相沢相談役の妻だ。
それにしても、これらのタレントで今も残っているのは松田聖子と安達祐実だけだ。他の3人は自殺・引退・犯罪で芸能界を去っている。なんという浮き沈みの激しさ。
読まない本を紹介するのが常のよかばい堂店主ではあるが、たまたまこの本にはもう一冊在庫があったので、この文を書くため目を通してみた。
世話をした20数名のタレントについて書けること自体、余人を以って代え難い。松田聖子や森田健作の項も興味深いが、中でも印象に残ったのは岡田有希子が自殺する前に、デビュー直前の酒井法子を見て著者にこういったという。「よかったね。わたしのあとがま、できたじゃない」
はたしてどういう意味だろうか。気になる方はどうぞお買い上げの上お読みください!
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