福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2011年6月号掲載分

暗号技術大全
ブルース・シュナイアー (著), 山形 浩生 (監訳)
出版社: ソフトバンククリエイティブ (2003/5/31)

 専門家というものは、ときに想像を絶することを考えていることがある。
 帯によるとこの本は「暗号界の世界的名著」で、「暗号のほとんど全てについて書いた本」らしい。
敵が「しらみ潰し攻撃」を仕掛けてきた場合、解読にかかる時間を算定しているのだが、その単位が文字通り天文学的で思わず笑ってしまう。
 56ビット長の鍵の場合「1秒あたり100万個の鍵を試せるスーパーコンピュータで探せば、正しい鍵を探り当てるのには2285年かかる。64ビット長の鍵の場合、可能性上がる2の64乗の鍵を試すのに同じスーパーコンピュータで585.000年かかる」
 56や64ビット長がどの程度のものなのか、1秒間に100万回がどんなものなのかは判らないが、2285年しかかからなかったら、運が悪ければ数年後には(1000年に一度の大津波がやってきたように)鍵を開けられてしまうかもしれない。
 ところが「128ビット長になると10の25乗年かかる。宇宙は10の10乗歳なので、10の25乗年はいかにも長い。2048ビット長の鍵になると、毎秒100万×100万試せるコンピュータを並列で走らせても10の597乗年かかる。分析が終わったときには宇宙は崩壊しているか、膨張しきって無と化しているはずだ」
 ま、宇宙の崩壊まで織り込んでおけば、「想定外」ということはなさそうだ。
 
光よ、通え

出版社:宗教法人 幸福の科学 (1994/12)
著者:大川隆法

 奥付には非売品と書いてある。ということは定価がないのだからプレミア化するというのはおかしい、と言われそうだ。たしかにその通りだが、けっこうな価格で取引されるのも事実だ。というわけで、紹介させていただきたい。
 勝手な想像だが、教団内である一定の資格を得た会員のみが入手できるありがたい本なのではなかろうか。教団というものは、おそらくは教祖を中心にしたヒエラルキーの組織だろうから、上の階層にいくほど「濃い」内容のお言葉が聞けるようになっているのだろう。
 まだそこに達していない信者は、今いる段階で修行を積みなさい、ということなのだろうが、中には熱心なあまり多少値が張ってでもフライングしてでも上位のテキストを手に入れたいと思う信者がいるのかもしれない。
 以前にも大川隆法の本がオークションで高値落札されたことがある。これらもやはり非売品だった。
 さて、きょう子夫人が教団を追放されるなど、かまびすしい話題のある同教団だが、プレミア化するところをみると、大川隆法総裁の求心力は衰えてないようだ。ちなみにきょう子夫人が以前に出した非売品の絵本『照魔の鏡』も出品しているが、こちらははまだ売れてない。