福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2011年7月号掲載分

よつばとひめくり 2006 [カレンダー]
あずま きよひこ (著), よつばスタジオ (著)
出版社: メディアワークス; 日めくり版 (2006/2/10)

人気漫画の日めくりである。ウィキペディアによると「ちょっと変わった5歳の女の子「よつば」が、日常の中で体験する様々な「初めて」や「感動」を描く」漫画であるらしい。自慢にはならないが、よかばい堂店主は読んだことがないので、この項はネット情報を拝借した。 
 5年前のカレンダー。もちろん実用にはならない。だが、100枚以上は書き下ろしのイラストというから、マニアにとってはイラスト集としての価値があると言えよう。
 この漫画のカレンダーは2005年から毎年出ており、その多くがプレミア価格で取引されている。もちろんいずれの年も「ひめくり」になっているから、毎日新たな絵が見られるのが魅力なのだろう。めくった後も裏紙に罫線が入っていてメモ用紙として使えるらしいが、プレミアで購入した人はそんな使い方はするまい。
 カレンダーもプレミアがつきやすい商品である。その年に入ってしまったら決して増刷されないというのが最大の理由だ。
 実はこの商品、仕入れ価格の段階ですでにプレミア価格だった。定価よりも高い価格で仕入れても、小売価格ではさらに高く取引される。面白い現象だ。
 


筑豊炭坑絵物語
山本作兵衛 (著)
出版社:葦書房 (1998年)

 いわずと知れた山本作兵衛の著書である。世界記憶遺産に認定されニュースは耳に新しい。
 似たタイトルの本に『筑豊炭坑絵巻』があるが、これはB5版横開きの画集である。おそらくこれが彼の最も知られている代表作といえるのではないか。大振りの画集でカラーページもある。
 今回売れた『絵物語は画集ではなく単行本で、ページ上半分に絵、下半分に絵に書き込まれた説明文が活字になった地味な体裁の本だ。『筑豊炭坑絵巻』の姉妹編という位置づけであるよだ。
 帯に山本作兵衛の言葉が記されている。「私の絵にはひとつだけ嘘がある。坑内は暗くて、こんなにはっきり見えまっせん」。なかなかユーモラスなコメントといえようか。
 巻頭には田川市石炭資料館の佐々木哲哉氏の献辞が寄せられ、佐々木氏が山本作兵衛の絵を見ているうちにこの本のアイデアを思いついたという、本の成り立ちについて書かれている。いわく「絵を見ながら余白に書き込まれている文字を丹念に追っているうちに、『これは紙芝居の台本だ』と思うようになった」。
 こう感じた佐々木氏が、ページごとに上半分に絵を、下半分には説明文をという体裁の本を作ろうと版元に持ちかけたと書かれている。
 残念ながらこの版元の都合で、この本以外にも多くの山本作兵衛の本が品切れになったままで、重版されることは困難であるようだ。