「月刊フォーNET」2009年9月号掲載分

近衛歩兵第一聯隊歴史
出版社:全国近歩一会（昭和61年）

　旧日本軍の近衛歩兵第一聯隊の文字通り歴史を綴った資料集。明治の初めから昭和20年までの歴史がわかる資料集。
　百科事典ほどの大きさの大部の書物だから、ブックオフの店頭に置いていてもそう簡単に右から左には売れそうもない本の典型だ。ただ、ネット上で流通させれば、目に止まる数は飛躍的に増えるので案外売れるのではないか、という予測のもとに仕入れた。
　実は筆者の母方の祖父がそのむかし近衛聯隊に所属していたと、母から聞かされていたので、ひょっとしたらこの本を隈なく検索すれば祖父の名前が見つかるかもしれない、という気もあって購入したように記憶する。
　で、売れたあと発送する前に本を開き祖父の名を探してみた。本の構成は時系列に沿って演習内容や名簿など聯隊の公式文書を綴じ込んでいったようなつくりだ。名簿は昇格や異同のあるたびに書き換えられたのだろう、そのたびに掲載されている。
　母からは祖父が大正天皇の棺を担いだと聞かされていたので、大正末期から昭和初期の名簿を探していたら、たしかに祖父の名を発見した。
　コピーして渡したら母は喜んでいた。　

ソワレ　公演パンフレット
2006年
　草刈民代の引退興行となった舞台公演のパンフレット。夫である映画監督・周防正行氏のインタビューも掲載されている。購入者は千葉県在住の女性。草刈民代の熱烈なファンらしく、オークション落札後のメールのやり取りにも、ファンの喜びが満ちている。たとえばこんな具合。
「草刈民代さんのファンです。残念ながら、こちらを見ることができなかったものですのでパンフを落札できて、とても嬉しいです！！」
　これほど喜んでもらえるとは古本屋冥利に尽きる。商品到着後にはさらに熱いメッセージが。
「昨日、帰宅してから頂きました。とても、綺麗な状態なので驚きと嬉しさでいっぱいです！！
　出張先で、時間調整のために、なにげなく入った映画館で観たのが『shall we ダンス』でした。超個性的な役者さん達の中で、草刈さんの凛とした姿が光っておりました。
草刈さんのことは、この作品で初めて知りました。こんな美しい人が、日本でもいたことを。（中略）周防監督という素敵な伴侶を得て、彼女の今後を楽しみにしているところです」
　多少価格は高くても、入手困難なものを見つけてきて喜んでいただくところに、せどりの醍醐味があるように思う。