福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2011年10月号掲載分

 

アイザック・アシモフの世界の年表 [-]
アイザック アシモフ (著), Isaac Asimov (原著), 川成 洋 (翻訳)
出版社: 丸善 (1997/09)

SFの巨匠アイザック・アシモフがこんな本を出している。B5版で厚さ5センチほどの大部。
 日本がどう書かれているかを拾い読みする。店主には記述の当否や正確さを判断することはできないが、日本の歴史書では見られそうもない表現を散見した。
 たとえば秀吉の天下統一についてはこうかかれている。
「天下統一となると、武士は突然失業したも同然である。そこで秀吉は、(中略)彼らの目を中国の明に向けさせ、朝鮮出兵を計画した」
 17世紀の日本の鎖国と鉄砲の禁止について「技術の発達が故意に差し止められた史上珍しい例である」としている。
  西南の役についてはこうだ。
「侍たちは近代的方法で訓練された平民たちに打ち破られ、こうして封建時代は永遠に去った」
 維新後の新政府についてはこうだ。
「西洋式の政府を組織した。モデルとして(中略)ドイツ政府を採用した。そのために、日本は保守的で軍国主義的国家へと進展していった」
 面白いので引用だけで終わってしまった。 



フレディー・マーキュリーと私
ジム・ハットン
ロッキングオン1994

 イギリスのバンド・クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーがゲイだったことは有名だが、その最後の「恋人」が書いた本。「日本ショッピングツアー」という章があり、常軌を逸した買い物の様子が描かれている。
 ロックスターの買い物伝説は彼以外にもたとえばマイケルジャクソンの原宿キディランドでの買い物風景などが有名だ。
 フレディの関心はマイケルのポップな趣味とは対照的に、伝統的なものに向いていたようだ。
 人間国宝のつくった漆塗りの展覧会の事前公開に行き、気に入ったので全部欲しいと言い出すあたりはすごい。
 展示会が終わらないので売れないのに聞き入れない。結局「フレディー・マーキュリー氏個人蔵より特別展示」と表示して展示したという。
 「一時間も経たないうちにフレディは百万ポンド以上を使っていた」とあるがこの百万ポンドは大金という意味しかない。その証拠に別のところで著者は「この旅の費用は百万ポンドをたっぷり上回っていた」とも書いている。旅全体も百万ポンド、一時間も百万ポンド。ひとつ、ふたつ、みっつ、たくさん…みたいだな。