「月刊フォーNET」2011年12月号掲載分
赤ちゃんの歴史 [単行本]
入来 典 (著)
出版社: 鳥影社 (2000/09)
- 作者: 入来典
- 出版社/メーカー: 鳥影社
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
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帯によると「赤ちゃんはどのようにして生まれ、育てられてきたのか? 近世ヨーロッパの出産と子育ての風景を軸に日本とも対比して、文化史として考える」とある。
目次には魅力的な見出しが並んでいる。「出産はお祭りだ」「帝王切開はなんのためにするのか」「」「母乳栄養を拒む人」「どんな乳母をどのように選ぶか」「産婆は魔女か」「仮死児は救うべきか」「双生児はどちらが第一子か」「孤児院は捨て子の天国だったか」「かつて嬰児殺しは日常的であったか」などなど。
というわけで、その中のひとつを紹介。
乳母というのは少なくとも現在の日本では希少な存在だが、歴史的には洋の東西を問わず存在していたらしい。たしかに母乳が出ない場合には乳母を雇うというのは当然の選択だろうから。粉ミルクもまだ無い頃だ。
しかし意外なのは、「母乳が十分にあっても、授乳を他人に任されることも少なからず行われていた。とくに十六世紀頃からのフランスの貴族や富裕階層では、常習的にわが子を乳母に預けていた」ということ。「かかる悪習は間もなく一般大衆まで広まった。」「農村には健康で母乳分泌がよく、わが子を新生児期に死なせた女性が数多くいて、乳母志願者には不足はなかった。」というくらいだから、ヨーロッパではかなり昔から「奔放な母親」が出現していたらしい。
長谷川博己『鈴木先生』OFFICIAL BOOK (学研ムック)
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2011/05/09
- メディア: ムック
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この書名を見て意味がわかる人はどれほどいるだろうか。実は『鈴木先生」というタイトルのテレビ東京制作のドラマがあり、その公式ガイドブックなのだ。
長谷川博己というのは主役を演じる俳優の名前。映画『セカンドバージン』で共演した鈴木京香とうわさになった人らしい。
つまり『オードリー・ヘプバーン『ローマの休日』ハンドブック』や『ヨン様『冬ソナ』ハンドブック』(そんな本があればだが)と同じ構造のタイトルのネーミングなのだとやっとわかる。
内容はと言うと、ストーリーや撮影裏話、出演者のプロフィールやコメント、登場人物の相関関係などを手堅くまとめたもの。そういえば大河ドラマにもそういうガイド本があったな。
この手の本は、「ひとりでも多くの読者に喜んで欲しい」という強い作り手の思い入れがこめらることは少なかろう。むしろドラマのオンエアにあわせて無難に作れば、一定数は売れるはずだというマーケティング的な「読み」でつくられるのではなかろうか。手堅いビジネスというわけだ。
そんな本がプレミア化する理由はただひとつ、出演者の熱心なファンが探しているからに違いない。タレント本は古書店業界にとってもありがたい分野である。