「月刊フォーNET」2012年2月号掲載分
カジノ・ブラックジャック必勝法
川上二郎 著者
出版社: 日本図書刊行会(発行) 近代文芸社(発売) (1997/3/20)
- 作者: 川上二郎
- 出版社/メーカー: 日本図書刊行会
- 発売日: 1997/03/20
- メディア: 単行本
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前書きによると、ブラックジャックには統計学的な必勝法があるのだそうな。
カードカウンティグと呼ばれるもので、それ自体には違法性はないが、カジノ側には自らの不利益になると判断した顧客の入場を制限する自由を持っているようで、その行為をしたプレイヤーを退去させることができるという。それへの対処法まで書かれている。大勝して目立たないこと、ディーラーが警戒するそぶりを見せたり監視員へ電話通報をしたりする予兆を見逃さないことなどがそれ。この辺は具体的でなかなか面白い。
いくら以上が大勝となるのかというと、500-1000ドル程度までが目立たない限度らしい。よって一晩で数億円やらの勝負をする人には、残念ながら同書は参考にならない。
肝心の必勝法が書かれた部分は確率について綿密に述べられているので、よほど動機付けができてないと読破するのは大変だろう。巻末の参考文献リストはすべて原書があがっているが、そのタイトルが面白い。たとえば"Playing Blackjack as a Business""The Theory of Gambling and Statistical Logic"など。ビジネス書か理論書のようなタイトルだ。いや事実そうなのかも?
逸話で語る民訴学者の面影
斉藤 秀夫 (著), 鈴木 正裕 (著)
出版社: 第一法規出版 (1997/05)
- 作者: 斉藤秀夫,鈴木正裕
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購入者は関西の有名私大の生協書籍部。この、生協書籍部というのは全国のいたるところにあり,弊店にとってはありがたい顧客のひとつである。もちろん生協が最終消費者ではなく、大学の先生が最終的な読者であり、生協はその取次ぎをしているに過ぎないと思う。先生がたは研究で忙しいだろうから、本のリストを生協に渡しておくと代行して仕入れてくれるのではないか。ありがたいことに予算も潤沢なのか、高い本が売れやすいのも生協の特色だ。
民訴というのは民事訴訟法のことらしい。その研究の先達たちの追憶を4人の学者たちが語る座談会、という形をとっている。座談会だからかならずしも学術的な話だけではなかろうと思い目を通すと、果たせるかなこんな箇所を見つけた。
「(ある先生は)大正11年に別府温泉からの帰途、明石沖で船の上から姿を消されて、数日後に徳島県に遺骸が漂着しました。(中略)小作人争議に小作人側に立っていろいろとご活躍になったので、地主からうらまれてそこから今日流にいえば殺し屋がやって来て海に放り込まれた」とか「ノイローゼ気味で(中略)自ら身を投ぜられたんだ」とか言われているらしい。
そのほかにも「朗造」という名前を「ろうぞう」と読むのか「ときぞう」と読むのかとか、昔の大先生が学生自分に猛烈な勉強をしたりした話で盛り上がったりしている。
しかしこんな下世話な読み方されると、きっと著者は不本意だろうな。