「月刊フォーNET」2012年4月号掲載分
警察隠語類集
警視庁刑事部 (編集)
出版社: 警察図書出版 (1957)
- 作者: 警視庁刑事部
- 出版社/メーカー: 警察図書出版
- 発売日: 1957
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警察が収集した隠語集。あとがきによると「捜査の第一線における地道な捜査活動を通じて着々蒐集されたもの」らしい。編纂から55年も経過しているのでいまや隠語と言えないものもある。
序文で「飲食店、宿屋、娯楽場、盛り場等において彼らの雑談中に使用されている隠語を聞いて犯罪の端緒を得たり、(中略)犯罪事実を自供せしめた例も少なくない」と、隠語を習得する意義を強調している。
たとえば「ごますり」。「諛(おもねる) 追従する」と説明されている。いまでは説明する言葉の方がかえってわかりにくくなってるかもしれない。ちなみに植木等主演の映画「日本一のゴマスリ男」はもう少し後の1965年の作品だ。
「くるくるぱあ」には「気狂い 『くるくる』は左巻きで、ぱあは『空つぽ』を意味する」とある。店主はこの本の出版の翌年の生まれだが、この言葉は子供のころから当たり前のように使って、たしなめられた記憶もないから隠語だとは知らなかった。言葉の響きからむしろ幼児語だとさえ思っていたくらいだ。
「ねんぐをおさめる」は「刑務所にはいる、自白する、又は観念」とある。これも今では日常的に使われているので隠語という秘められたニュアンスは無い。テレビの時代劇や刑事ドラマで広がったのだろうか。
意味の彼方へ ラカンの治療学
新宮一成 編
金剛出版 1996年
- 作者: 新宮一成
- 出版社/メーカー: 金剛出版
- 発売日: 1996/02
- メディア: 単行本
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専門外の人はめったなことでは手に取らない精神医学の専門書だ。ところがそのシンポジウムの出席者のひとりに北山修という名前を発見した。50歳前後の人なら目にしたことがあるだろう。
そう、フォーククルセイダースのメンバーで「帰ってきたヨッパライ」「あの素晴らしい愛をもう一度」「白い色は恋人の色」などを作詞した北山修。
京都府立医大の出身で芸能活動はやめて医者になり、九大で先生をしていると聞いたことがある。精神医学の専門書や啓蒙書で名前を目にしたこともある。
彼の担当した(シンポジウムで発表した)章をちょっと覗いてみる。
「何をやってもうまくいかない治療者(たぶん北山氏のこと)に対して彼女(患者)は、何ヶ月もドジ、ニブ、ヤブ、ムノウという言葉をぶつけ始めた」「治療者が失敗して音を上げるのを楽しみにしているようだった」。もちろん専門的な内容はわからないが、仕事の大変さは伝わってくる気がする。
作詞家として知られた人も医療の現場ではこんな目にあっていたのだ、という俗っぽい読み方しかできないのは、もちろん店主の人品と能力によるもので、この本のポイントは別にあるはず。
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