福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2012年5月号掲載分

反核」異論 (1983年)
著者 吉本 隆明
出版社 深夜叢書社

「反核」異論 (1983年)

「反核」異論 (1983年)

 吉本隆明氏が亡くなった。敬愛する思想家の訃報を耳にしたときも、アマゾンでその著作の相場を確認してしまうのはせどり屋の性(さが)というべきか。
 プレミア化していたので、自分の蔵書にあった一冊を売ることにした。また読みたくなったら買い戻せばいい。
 この本は吉本氏の旧著の中では比較的よく売れる本だ。いわゆる左翼系の論客で反核(ないしは脱原発)に異論を唱える論客が珍しいかららしい。先日立ち寄った古書店のご主人はそう分析しておられた。
 店主は大学時代にこの本を読んだ。その後サラリーマンになり転勤の際に古本屋に売り飛ばした。手元にあったものはもう一度読もうと思い、近年ブックオフで見つけたときに買っておいたものだ。
 国文学の研究者の方にお買い上げいただいた。さすがに研究者など「その道のプロ」は読みたい本は多少高くても迷わず購入する傾向が強い。もちろん学校の書籍購入の予算を持っているということもあろうが、購入に二の足を踏むと、後日の入手に大いに手間取ったり、読むチャンスを逸したり、論文の構想がうまくまとまらなかったりして後悔することがあることを知っているのだろう。


アストロエコノミクス―お金儲け占星術 (セブンブックス (12))
出版社: 小学館 (1985/06)

アストロエコノミクス―お金儲け占星術 (セブンブックス (12))

アストロエコノミクス―お金儲け占星術 (セブンブックス (12))

占星術とお金儲けを合体させたようなタイトルは珍しい。
1985年と言えば9月にかの「プラザ合意」が行われた年。このあと円高が加速しバブル景気に突入したことを思い起こすと、その直前に出版されたこの本は、先見の明があったといえるのだろうか。
 カバーには日興リサーチセンター証券調査部部長による推薦文がある。占いの本の推薦者としては異例であろう。それによると、著者は以前から株式取引に関心が高かったようだ。雑誌等で値上がり株の予測もしていたらしい。
 このようなタイトルの本を書き、値上がり株の予測をしていた人が、バブル景気のときにどのような金運をたどったかが気になる。そこでネットをググッてみるが情報がない。気になるところである。
 プレミア化するだけあって類書の少なそうな内容だ。一般的に占いの本では芸能人を例にあげることが多いが、この本では財界人を例として取り上げている。それぞれの星座ごとに、「どうすれば金持ちになれるか」「貧乏をしない方法はあるか」「どんなマネーテクニックがよいか」などが語られている。店主の星座は乙女座だが、それを例に取ると「管理社会にぴったりのサラリーマン型だが、いま脱出欲望強い」とある。なるほどそれで脱サラしてせどりをしているのかもしれない。