福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

2012-08-22 「月刊フォーNET」2012年9月号掲載分

瞳はヒミツ色―あなただけにこの想い [単行本]
岡田 有希子(著)
出版社: ワニブックス (1985/01)

瞳はヒミツ色―あなただけにこの想い

瞳はヒミツ色―あなただけにこの想い

 岡田有希子関係では『岡田有希子はなぜ死んだか』という古本業界では有名なプレミア本がある。著者は上之郷利昭。ちょっと意外な組合せだ。残念ながらよかばい堂ではまだ扱ったことがない。
 彼女関連の商品はプレミア化しているものが多い。以前ここで取り上げた『相沢家の愛しき卒業生たち―スターを育てて27年』という、岡田が所属していた芸能事務所の社長夫人の著書もそうだ。むろん同書では岡田のことも言及されている。CDも軒並みと言っていいほど多くがプレミア化している。
 さてこの『瞳はヒミツ色』だが、奥付には1985年2月初版とある。その1年後に岡田有希子は事務所の屋上から飛び降り自殺をした。
 巻頭にはカラーグラビアが10数ページ。その1枚は読書中のもので、横にはポエムっぽい体裁で「静かなひるさがり/ひとりで読書をします、/赤川次郎さんの推理小説も/田辺聖子さんのユーモア小説も/渡辺淳一さんの恋愛小説も/物語はみんな私と/あ・な・た・のストーリー」とある。
 この頃はまだ渡辺淳一の名前は、清純なアイドルが愛読するにふさわしい恋愛小説の書き手として認知されていたことがわかる。
 彼はその後のバブル期には経済紙の朝刊で毎日のように濃厚な性描写を掲載して大成功をおさめ、いまではエロティックな小説の大家と言っても過言ではなかろう。。
 





仙台育英学園高校・その歪んだ実態 [単行本]
室井 助 (
JICC出版局 (1989/03)

虚妄の学園―仙台育英学園高校・その歪んだ実態

虚妄の学園―仙台育英学園高校・その歪んだ実態

 仙台育英高校はこの夏甲子園に出場したが、その直前に野球部の生徒がいじめ事件を起こし警察沙汰になった。その直後にこの本が売れた。われわれのように仙台から遠いところにいると、スポーツの名門校というイメージがあるが、それ以外にもなにかと話題の多い学校でもあるようだ。
 プレミア売れしたのは今回が二度目。20年前のこの種の本にしては良く売れる方だと思う。暴露もの・内幕ものは、事件が落ち着くと誰も見向きもしなくなるものだが、意外にも息が長く売れているのは、この学校が長いこと話題を提供しているからなのかもしれない。
 同校に21年の在職した元教師が内幕を暴露している。追求の対象となった校長(当時の役職。以下同様)とその長男である校長室長の写真はもちろんだが、内部文書のコピーも掲載されている。このあたりの個人情報やニュースソースの扱いはは今と違い「ゆるい」感じがする。
 実際のところ、校長の私生活を暴露した部分は訴訟を起こされて裁判所の差し止めを受け2刷以降は削除された。削除部分はそのまま空白として残されており、裁判所の仮処分決定のいきさつが空白を埋めるように掲載されておいる。
 削除前の初版も入手したので調べてみると、女性がらみの暴露記事であるようだ。「ホステスとのデートも学校払い」という見出しが付いている箇所や理事長と長男それぞれの夜の街での行状について書かれた部分が差し止められている。