福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2015年12月号掲載分

ボクシングマガジン 1973年3月号』

ベースボールマガジン社

 
 現役チャンピオンのまま事故死したボクサー大場政夫の追悼号。彼の記事が載った号を多数出品中したのだが、軒なみ入札され値が上がっていく。根強い人気を示すようだ。
 彼は愛車のシボレーコルベットに乗り首都高の飯田橋から早稲田にかけてのカーブで事故死した。グラビアには愛車とともに写っている写真が2枚あるが、一枚はおそらくトヨタセリカ、もう一枚にはファイアーバードと記されていてコルベットの写真はない。コルベットは納車されて間もなく事故を起こしたようで、写真にも撮られる間もなく大破したのか。
 記事中には「高速道路で大型トラックと正面衝突」とある。この頃は首都高がまだ対面通行だったのだろうか。気になるところだ。
 「マイカーボクサーを考える なぜか彼らはスピード狂ばかり」という現在からみるとちょっと不思議なタイトルの記事もある。ボクサーがクルマの運転をすることについては、懸念する声がジムの内部にはあったようだ。
 この雑誌は下関のコレクターから仕入れた。ボクシング・プロレス関係の雑誌・パンフも合わせて大量に買った。学校を出て大阪に就職したというその人は40年来野球と格闘技に相当なエネルギーと金銭を注いだようだが定年を過ぎて、売ることに決めたそうだ。
 こういう人のものを譲っていただく場合は、とにかく聞き手に徹することにしている。なんせ長年の思いが詰まっているお宝を手放すのだから。
 次に紹介するプロレスのパンフもこの人から買ったものだ。

『TBSプロレス パンフレット』
 
 にわか仕込みの知識によればTBSプロレスとは国際プロレスの別称のようだ。たしかにグレート東郷や鉄人ルーテーズの名前が見える。
 筆者がプロレスに目覚めたころは福岡では国際プロレスしかテレビ放映されていなかった。ジャイアント馬場日本プロレスは1968年にFBS福岡放送ができるまではテレビでは見られなかったのだ。馬場も猪木も「少年マガジン」などで見聞きするだけで、テレビではサンダー杉山グレート草津豊登らの国際プロレスしか見られなかった。
 このパンフのオークションではふたりのマニアが熾烈なバトルを繰り広げあれよあれよという間にずいぶん値が上がった。どうしても手に入れたくて熱くなり予算を忘れて高い値を入れてしまうのだろう。後日冷静になって後悔することもあるみたいで、この落札者、翌日メールで送料をまけてくれないかとの申し入れてきた。
 たしかに値が上がったのは、よかばい堂の仕入れ・出品などの企業努力が無いとは言わないが、熱くなった二人の攻防も大きいわけだし送料分の値引きを快諾した。