福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

よかばい堂、海外で仕入れるの巻

 
 先日ヨーロッパで仕入れをした。今回行ったのはブリュッセルとパリ。妻と一緒だったので観光もそれなりにしたがブリュッセルでは古書店・中古レコードショップを10店舗ほど見て回った。
 ブリュッセルはベルギーの首都だが人口は110万程度なので福岡よりも少し小さいぐらい。しかし王宮や王立美術館が立ち並ぶようすは首都の貫禄充分。レコードショップも町に規模に比して多ようだ。
 実際に見て分かったのは、日本で高いものは同じように高いということ。ネットの情報が価格差をなくしているのは明らかだろう。60-70年代のロックのアルバムは高い値がついているのはいずこも同じ。ときに日本盤の帯付きレコードも売られていたがその帯がどうみてもフェイクなのは苦笑した。帯の幅が細すぎたり、本物なら使わないような言葉が使われていたりと日本人なら誰でもわかるレベルの代物だ。
  一方で古本屋でもレコードを扱っている店はけっこうある。ただその並べ方たるやかなり乱暴で、ある店では1枚1ユーロ以下の安物は棚の中に平積みにされていた。だから積まれた山の下の方にあるレコードを引っ張り出すのに一苦労。量が多すぎたので全部見ることはできなかった。
 パリでは古本屋と蚤の市も見て来た。
蚤の市は三つ行った。以前とは大きく様変わりしているものもあった。当時「泥棒市」などという不名誉な名がついていたモントルイユ(パリ東部)の蚤の市は、生活必需品の市になっていて、観光客はおらずアフリカ系の人とアラブ人が大半だった。朝早く行くと骨董類も出ているらしいが、見つけることができなかった。雨が降り寒かったので早々に退散してきたからかもしれない。
 クリニャンクール(パリ北部)は以前から観光地化していて、各店舗も仕入れ品は入念にチェックした上で値付けしているので掘り出し物を見つけることはまずできそうにない。ただ、店の数が多く値付けもはっきりしているので、価格調査には便利だ。いまどんな品に人気があり高い値がついているかがよくわかる。レコード・マンガなどのサブカルチャー類が高いのも日本と変わらない。
このクリニャンクールは店舗が集中していて買い物もしやすく観光客も多い。ただ古本屋・レコード屋は新しくできた共同ビルの2階に多く収まっておあり週末しか店を開けていないので要注意。それを知らずに金曜日に出かけたら一軒も空いておらず、翌日まだ出てくるはめになった。
 このクリニャンクールでも日本人ならすぐに見抜ける墨絵のフェイクをしばしば目にした。漢字の書き方が明らかにオカシイからすぐわかるのだが、こんなものにも平然と「中国 19世紀」などと札がついて売られている。一緒に売られているロートレックのポスターやピカソリトグラフだってどこまで本物か分かったものじゃない。
 ヴァンヴ(パリ南部)の蚤の市は常設店ではなく路上のテントでの販売だからクリニャンクールに比べたら価格も安目のようだ。そかしここも観光客がかなり目立つので徐々に値が上がってきている気がする。この近くのジョルジュ・ブラッサンス公園では古本市が開催されており、ここでいくつか面白いモノを仕入れることができた。