福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

「月刊フォーNET」2013年3月号掲載分

アタック25―東リ・パネルクイズ [新書]
朝日放送テレビ制作局
出版社: 大泉書店 (1983/01)


 古いクイズの本。表紙の30年前の児玉清が若々しい。
 オセロを模した5×5のパネルがあり、クイズに正解すると好きな場所に駒を置ける。オセロで多く陣地をとった者が勝つというクイズ番組だった。
 前の所有者が問題を解き、正解した問題に○が、間違った問題には×が残っている。ためしに店主もいくつかやってみたが、前の所有者が正解したものが分からず、店主が正解したものには×がついている。ことごとくそうなる。
 たとえば「標準スピードで撮影された16ミリの映画フィルムは何コマで1秒でしょう?」なんていうのは見当もつかない(正解は24コマ)が、前所有者は正解している。上の世代かと思いきや、「書道にすぐれ三筆とよばれたのは嵯峨天皇橘逸勢ともう一人は誰でしょう」という問題に×がついている(正解はもちろん弘法大師)。
 出品したらその日に売れた。あまりにも足が速いので、もう一冊仕入れようと探していたら、とある場所で弊店の3倍ぐらいで出品されていた。どうやらウチが売った商品だ。せどりがせどられたわけだ。3倍は高すぎるだろうと思っていたが、原稿を書くにあたりさっき調べたらしっかり売れていた。

 

 

 

彼らの目は神を見ていた (ハーストン作品集) [単行本]
ゾラ・ニール ハーストン (著), Zora Neale Hurston (原著), 松本 昇 (翻訳)
出版社: 新宿書房 (1995/04)

 古本屋は本を安く仕入れて定価よりも安く売るもの、というイメージがあるだろうが、必ずしもそうとは限らない。
 この本は定価よりも高く仕入れた。もちろん売れた価格もプレミアつき。
 ネット上で数点が相当な高値で出品されていた。しかし、これが相場とは言えない。売り手がこの額で売りたいと言っているに過ぎず、本当に売れるかどうかはわからない。また売れたという取引相場も開示されていない。
 株でいえば指し値で売りに出しているだけ。不動産でいえば売り手の「出し値」にすぎず。取り引きが成立したわけじゃない。買い手が価格を提示して交渉が始まる。アマゾンの場合は買い手が安値を提示してくることはほとんどない。今まで1-2回あったか。
 高値で放置されたまま数年経過する本などいくらでもある。自慢じゃないが弊店にもある。店主が生きている間には売れないかもしれない。ひょっとしたら今ある在庫は全部そうかも…、と思うとぞっとする。