「月刊フォーNET」2013年6月号掲載分69
APA論文作成マニュアル [単行本]
APA アメリカ心理学会 (著), 江藤 裕之 (著), 前田 樹海 (著), 田中 建彦 (著)
出版社: 医学書院 (2004/07)
APA(American Psycholigical Association)アメリカ心理学会。そこが出してる論文作成のマニュアル。論文を書く際の注意点やべからず集とでも言おうか。
副詞の位置も間違えると曖昧な表現になる、など受験の英作文でも使えそうな一般事項も網羅されている。
しかし、ぱらりとめくってみた門外漢は、政治的に正しい言葉遣いについての説明に興味をそそられた。「言葉の偏見をなくす指針」という項に、性別・性的嗜好・人種・障碍・年齢などについての言葉遣いを説明している。
こんな例が挙げられている。言葉が明瞭なメキシコ系アメリカ人教授」は誤りで「メキシコ系アメリカ人教授」とすべきとある。「通常のメキシコ人教授がarticulate(言葉が明瞭な―引用者註)ではないという「基準」を示唆することになるので不適切」ということだそうな。
こういう例文が挙げられているということは、アメリカではメキシコ系は言葉が不明瞭だといつ通念が流通していることがわかる。
他にも漠然と人を表すheやhisの言い換えはどうしたらいいか、homesexualという言葉は曖昧だから使わないほうがいいというのだが紙面が尽きた。知りたい方はお買い求めください!
石田純一 青田典子 デートの罪と罰 [単行本]
1週間編集部 (編集), POP STYLE編集部 (編集)
出版社: 講談社 (2008/3/26)
タイトルから石田・青田両名のスキャンダルを集めた暴露本だと思いこんでいたのだが大間違い。実はデートの指南書。連載の初出は読売新聞。両名がデートの達人で、読者は指南を受ける。それにしてもこのタイトル、石田・青田両氏に付随する恋多き(あるいはスキャンダラスな)イメージをうまく使っている。タイトルから中身を推しはかるのはちょっと無理。
あえてミスリーディングなタイトルをつけている気もする。「罪と罰」などと煽っておき、中身は実用的な指南書というわけだ。
男の読者に語り掛けるスタイルをとっている。「こうやったら女性は喜ぶよ」という男向けのメッセージで一貫している。女性からのデートへの積極的なコミットは提案さえれていないようだ。なぜだろう。
本コラムの本旨として取り上げる本は腐さない原則に鑑みると、これはこの本の欠点と考えるのではなく、連載した読売新聞の姿勢だとあえて勘ぐってみたい。
デートの主導権は男が持ち女は受け身であるべきというのが、保守派の論陣を張る読売新聞の深謀遠慮だという説。なんだか陰謀説めいてきた。