福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

 よかばい堂、古書店の弊店在庫を一括処分するの巻

とある古書店が閉店するので在庫を全部処分してほしいという。聞けば古書組合には加盟してないとのこと。近所の組合加盟店に頼んでみたが、あまりに大量なので断られ弊店に話が舞い込んできた。
行ってみると市内の郊外に開発された住宅地のショッピングゾーンに立地する、間口2間奥行き4-5間の典型的な古書店の店舗。
 店内はスチール製の本棚20台が並んでいる。しかも本の詰め込み方が尋常じゃなく、本棚の上はもちろん、本の棚板の両側から本を詰め込んでいる。こんな入れ方見たことがない。あまりのことに本棚が悲鳴を上げ傾いでしまっている。
 全体量を概算するとバナナの段ボールでおよそ300箱分。一箱20キロから30キロぐらいだから、8トン前後だろうか。大型トラックで数回搬送しなければならないのはもちろん、箱詰め積み下ろしも一人では無理だ。
第一こんな大量な本を置く場所がない。弊店にも無いが福岡のどんな古本屋にもこんな大量の本を引き受けるキャパは無い。つまり一店舗で扱うことはハナから無理だ。必然的に組合員で分け合う形になるので、交換会に委託出品してもらうことになる。まあ、これが古書組合のメリットのひとつでもある。
 交渉の結果、トラックチャーター費用、作業員の日当、段ボール代など必要経費をすべて負担してもらい、弊店が売り上げの一部を歩合として受け取ることで合意した。
 先方も店舗の明け渡し期限が迫っており、長びくことを避けたかったのですんなりと交渉がまとまった。
 ところでこの古本屋さん、どうやらせどりで本を集めて店を開いたらしい。そうやって集めた本なので意外と内容良い。わかりやすく言うと、大手古本チェーン店の100円均一コーナーに置かれているような「ありふれた」本がほとんどない。そういう本は、有名作家のベストセラー小説やエッセイなのが多いのだが、値崩れしており商品としての魅力に欠ける(「本としての魅力」ではない)から、古本屋は手を出さないのだが、ありがたいことにその手の本が極めて少ない。箱詰めしながら、交換会ではそこそこ高値が付くだろうとと期待が高まる。
 実際のところ思った以上に人気があり多くの札が入った結果、予想の倍ほどの金額で落札された。これです売り主への配当はもちろん弊店の歩合も予想以上に入りほっと一安心。
本の売り手、買い手、仲介(よかばい堂)と皆が喜ぶ「三方良し」の結果となった。近江商人か。
 
 刑務所からの手紙の続報。その後数回の手紙のやり取りをしていたら、ある日2万円入りの現金書留が送られてきた。自分の欲しい本をリクエストするので送ってほしい、代金は2万円から差し引いてもらえないか、という。
 了承する旨の返事をしたら、その後1か月以上音沙汰が無くどうしたものかと思っていたところ、刑務所の規則に反しているとの指摘を受けたのでこのアイデアは撤回したい、自分の未熟な判断でご迷惑をおかけし申し訳ないという趣旨の手紙が届いた。預かり金は返金。ただし、今後も読み終えた本の寄贈は続けたいというので、女性タレントの写真集のランキング情報は引き続き提供することにした。