福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

大分三昧ひと月を送るの巻

 

 

 

 この一か月で大分県内のあちこち、豊後大野市竹田市大分市臼杵市と四回も大分に通ったが、これには訳がある。実はとある三大紙に全面広告を出したのだ。

 とは言え、零細古書店が出すのだから料金は格安だ。まず掲載地域に福岡県は無く、大分県佐賀県筑後地方のみ。

 さらに安さの最大の理由は、大至急広告主を探さなければならなかったから。何かのトラブルで急遽広告面に穴が開いたらしい。大急ぎなので、社長の一声で決まる零細な店に話を持ちかけたのだろう。そんなことが重なって格安で広告が出せた。

 全面広告の効果は大きく電話がたくさん掛かってきた。その中の一本が「本と映画が無暗と好きな医者が死んで残した本が大量にある」というので臼杵までの出張を即決したのだが、我ながら悪くない判断だった。行ってみると予想以上に大量で、結局数回現地入りすることになった。

 何度か行くうちにこちらも博多の手土産を持参していったり、一緒に書斎に入って作業をするうちに互いに打ち解けてきて、作業の合間にお茶に呼ばれて世間話をしたりする。そのうち昼食にも誘ってくれるようになった。

 本音を言えば臼杵のふぐ料理を食べたいのだが、近所の喫茶店で日替わりの手料理を出すと言うので同行してみる。ふぐはまた後日行ってみよう。

 古いお屋敷街の中にあるレトロな、というよりも寂れた喫茶店には彼らの同級生や近所の顔見知りがたむろしており、聞けばこの界隈独居老人が多く日替わりで手料理が食べられるこの店は重宝されているという。

 還暦を過ぎたよかばい堂店主もその店では若者扱いされてしまい、「若い人はたくさん食べにゃ」と料理もてんこ盛りにされる始末。

 客も店員もほとんど80歳前後で、子供世代はほとんど町を出てしまっているらしい。その説明するご本人も40年東京に住んでいて定年後戻ってきたというから、若年層が転出して老人ばかりが残っている現実を感じる。

 臼杵にはあと何度か行くので、いずれふぐを食べるつもりだ。一泊してふぐ刺しとひれ酒を注文するのが理想だが、日帰りで気軽に食べたい場合は回転寿司でもふぐの白子が食べられるのだと地元の情報を教えてもらった。こういう情報は嬉しい。

 数日後には豊後大野市に行った。竹田市の東隣に位置する。竹田は地図で見ると湯布院インターから一般道を走るのが最短距離に見えるが(グーグルマップで調べてもその道を推奨してくるから、多くのカーナビもおそらくそうだろう)、地元民に聞くと大分道で大分米良まで来て「中九州横断道路」を通る方が早いという。豊後大野はその東隣りなので、当然その道を使う。これも地元住民からの情報として聞いて得した気がしたので、ここに書いておこう。

 私が行ったのは豊後大野の緒方駅の近くだったのだが、街中を流れている用水路が素晴らしい景観をつくりだしていて、造り酒屋のある街並みがいっぺんで気に入った。仕事を終え食事をしようとしていたら古い酒蔵を改装した観光施設を発見。その日は日曜日だったこともあり観光客が多かったが、なんと白人系の若い男女3人の観光客も来ていて軽く驚く。こんな田舎まで外国人が来る時代になったのだと、ここでも時代をの空気を肌で感じた。