福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

コロナウィルスについて

 さて、コロナウイルスである。どこへ行ってもこの話題ばかりだ。先日映画館に妻と一緒に行ったら一席とびに座らされた。老夫婦はいざしらず、ホットなカップルであれば残念だろう。しかしもっと気の毒なのは映画館だ。半分しか座らせられない状態が続くと経営が大変だ。

 弊店のネット部門(と言ってもほとんどこれしか無いのだが)の売り上げは今のところ大きな打撃は受けていない。いやもしかしたら追い風と言っていいかもしれない。若干ではあるが売り上げが伸びている。外出を控えた人たちがネットで買い物をするようになったと聞くが、その影響があるのかもしれない。

 というわけで、コロナ騒動は書店にとっては微風程度の追い風にはなっているようだ。ただ、他の古本屋の売り上げはわからない。というのも組合の市を月に二回開いているのだが、今月はコロナの影響で会場を使用できず、市が開催できないので同業他社との情報交換もできていないのである。

 弊店には店舗がないから想像するだけだが、実店舗を持つ書店でもコロナの影響は限定的ではなかろうか。もともと書店というのはあまり積極的に接客をしない業態だ。ブティックのように店員が客に話しかけてものを薦めることは普通しない。薦めるとしたらPOPに書き込むぐらいだろう。書店員がにじり寄ってきて「この本いかがですか、お薦めですよ」などと言われたら気持ち悪くて二度と行きたくなくなるに違いない。

 とはいっても本を介してウイルスに感染することは理論的にはありうる。コロナウイルスがどのくらいの期間生きている(活性化している)のか知らないが、ネットで購入した本が送られてきたとして、本を梱包する人が感染者だった場合はどうなるのだろうか。郵送されてる間に死んでくれればいいが、そうでなければ感染することもありうるのではないか。気になる人はアルコール消毒でもしてください。

 もちろん書店でもそうだ。というよりも、書店の本のほうがネットよりも本にウイルスが付着している可能性は高い。さっきまでその本を手に取って立ち読みをした人が感染者だった可能性があるからだ。当たり前だがネット販売の本は立ち読みされない。というわけで本屋から帰ってきたら手を洗いましょう。

 それにしても人間(他の動物は知らず)の皮膚とはよくできているものだと感心する。だって、ウイルスが付着しても体内には侵入させずにしっかりと防御してくれて、洗い落とすだけで大丈夫なのだから。

 そんな自粛ムードの中ではあるが3月28日から4月5日にかけて小倉駅で古本市が開催され弊店も出店する。一時は延期も検討されていたが幹事役の書店は予定通り実施すると決断した。こういう時期だからこそ本屋が頑張って本好きの方々にお越しいただこうという考えたようだ。なかなかあっぱれである。

 きのうは大分県臼杵市で買い取りをして、大分市内に泊まった。夜は知り合いの古書店に顔を出しビールを飲みながら(最近はやりのブックカフェという業態なので飲食もできるのだ)雑談していたが、自然とコロナの話になる。大分では先日ある飲食店の従業員の感染が見つかったらしく、その店のある一角には数日にわたって客が寄り付かなかったらしい。

 翌日ホテルで朝刊を開くと臼杵で60代の夫婦が感染したとの見出しが目に飛び込んできた。まさにきのう自分がいたところところだ。徐々に敵が近づいて来るようでどきりとする。なんだか暗くなりそうだが、こんな状態はいつまでも続く訳ではないと考えて楽観視している。