福岡古本買取よかばい堂の古本買い取りコラム       福岡の経済誌「月刊フォーNET」連載中!

福岡古本買取よかばい堂の店主が、福岡の経済誌「フォーNET」に連載中のコラムの過去掲載分です。

コロナウィルスについて (その2)

 先月新型コロナウィルスの影響について書いたが、ひと月たったいま読み返すと、遥か昔の話のように感じる。それぐらいこのひと月の動きは激しかった。
 映画館で一席とびに座らされたことを書いたが、いまやそれどころか映画館自体が閉まっている。小倉駅ナカの古本市も開催はしたものの、近所の病院でクラスター感染が出たので会期途中で中断してしまった。この一か月の動きのなんと激しいことか。
  人的な接触を回避するいわゆるソーシャル・ディスタンシング(感染を防ぐために2メートル以上距離を取ろうという戦略のこと)のおかげで、本の買い取りが減ってきたように思う。そりゃそうだ。ウィルスに感染しているかもしれない赤の他人(私たち古本屋のことだ)を家に入れたくないと思うのは当然だろう。
 5月の中旬から天神のジュンク堂の地下にある丸善ギャラリーで予定されている古本即売会も開催が危ぶまれている。東京では紀伊国屋書店が休業に入っているし、ジュンク堂天神店も予断を許さない。いずれにせよ天神ビッグバンにより新しいビルが着工されるため、同店は6月には閉鎖される予定で、「本屋難民」の発生を懸念する声もある(2020年3月3日 産経新聞)。
 新刊本屋や古本屋の閉店が相次いでいる現状に追い打ちをかけるかのように、天神ビッグバンによる大型書店の閉店、さらにはコロナウィルスによる休業要請など、暗澹たる環境の中、福岡の本屋にまつわる明るい話題はないのか!?
 いえいえ、あるのですよ、それが。名付けて「本の無人販売所」。そう野菜の無人販売所と同じように料金箱を設置してあとは放置。いや放置という言葉はよろしくないな。人を置かない無人の店舗。ときおり農家が、いや古本屋が来ては料金を回収し新しい本を補充していくというもの。
 東京あたりではすでに先行事例があるらしいが、これを福岡でよかばい堂もやってみようと思う。すでに準備は九分どおり済んでおり、あとは最終チェックの段階。この号が発売されている頃には開店しているはずだ。場所はよかばい堂事務所の一部を開放して確保。
 もちろん新型コロナウィルス対策として、当面は入場はお一人づつに制限させていただく所存。店員がいないので濃厚接触はおろか淡泊接触?すらなく、感染の心配はきわめて低いのも昨今では売りものにしたいところだ。
 無人にすることで盗難を危惧する声もあるが、店主はさほど心配してない。まず、店の場所が繁華街ではないこと。住宅地なので通りすがりの客は少ない。さらに看板も出さない。告知はもっぱらSNSで行う予定。本当に本が好きな人だけが見つけ出してくれるようなひっそりとした店にする。まずは300円までの安価な本・CD・レコードだけでスタート。うまくいったら少しづつより高額な品も出していくつもりだ。
 併せて有人の店舗も準備中だ。こちらはより高額な本も置くが、店番がいるときだけしか開店しない。
 新規開業する古本屋の店舗がほとんどない中、できるうちに大胆な試みをしてみたい。果たして凶と出るか吉と出るか、一年後にはどうなっているだろうか。